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| vol.15 (2008年8月発行) |
| CONTENTS |
学習指導要領はこう変わる ●算数編 山梨大学教授 中村享史先生 ●理科編 麻布大学非常勤講師 矢野英明先生 |
| 学力向上に取り組む学校 モジュールタイムで学力向上 山口県山口市立宮野小学校 |
| 学力向上に取り組む学校 ICTの活用で学力向上 長野県長野市立古里小学校 |
| 学力セミナー 「本田(ほんでん)はんぷくプロジェクト」 岐阜県瑞穂市立本田小学校 渡邊靖之先生 |
| 道徳教育改革集団 教育セミナー開催 |
| 金ROM2008 動作環境アップのご案内 |
第12回「漢字歌」コンクールのご案内 |
| 内容の一部紹介 |
| 巻頭インタビュー 学習指導要領はこう変わる ●算数編 山梨大学教授 中村享史先生 本誌前号(14号)において、平成23年度から完全実施される新しい学習指導要 領のうち、国語科の改訂のポイントについてのインタビュー(兵庫教育大学大学院 教授・堀江祐爾先生)を掲載したところ、大きな反響をいただきました。そこで、 今号では、21年度から多くの移行措置の必要な、算数と理科について、改訂のポ イントをお聞きしました。算数の改訂のポイントについては、中村享史先生(山梨 大学教授。中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会算数・数学専門部会 委員)にお話を伺いました。(聞き手:「新しい教育(金ROM広場)」編集部) Q 今回の学習指導要領の改訂の検討に際し、算数として課題になった内容は、どのようなことでしょうか。 中村 中教審の答申の中にもありますが、いちばん大きいのは、PISAとかTIMSSの結果から、学力低下の兆しが見えたということだと思います。教育課程実施状況調査や全国学力・学習状況調査の結果でもそうですが、いわゆる知識・技能に関してはある程度できているのですが、以前から課題になっている数学的な考え方については、低下しているということです。 特に、活用力については、小学校で学習した知識や技能を、高校一年生の段階でも日常生活や社会生活でなかなか活用できていないということです。PISAの結果が、だんだん低下してきているということも、問題の一つです。 それと同時に、関心・意欲・態度の問題に関わって、算数・数学が好きだとか、算数は大事だという子どもたちの意識が低下しているという点にも注目する必要があります。最近の調査では回復しつつあるという結果も出ていますが、高校生を対象にした調査では、依然低い状況です。 小・中学校で培った力を、高校までにどのようにして活用できる力にしていくかということです。小学校の算数の場合は、知識や技能についての習得はかなり徹底して行われていると思います。ただ、全国学力・学習状況調査のB問題のような活用力は、できていません。具体的に言いますと、自分の考えを言語で表現するとか、絵や言葉や数式を使って表現するということができていないのです。これは、授業改善に関わってくる問題です。このことが、今回の改訂のいちばんの課題だと思います。 Q そうした課題解決のために、どのような改訂がされるのでしょうか。具体的にお教えください。 中村 今回の改訂では、三つの大きな柱があります。 一つは、「算数的活動」を学習指導要領の中に位置付けたことです。各学年4 〜 5項ずつ、それも、ただ活動というのではなくて、目に見える活動であるとか、説明する活動であるとか、調査してそれを探究する活動であるとか、そういうものが算数的活動に含まれています。 二つめには、「数学的表現力の育成」です。数学的思考力あるいは数学的見方・考え方というのは以前から言われてきたことですが、目に見えないものですから、なかなか難しいものです。どういうふうに考えているのですか、あるいは、思考しているというのはどういうことですか、という問いかけに対し、思考と表現は表裏の関係ですから、考えていることを目に見える形で、どう表現できるかがいちばんのポイントとなってきます。数学的思考力と同様に、数学的表現力がポイントとなってきます。 三つめは、活用する力です。算数の中での活用は二つあると思います。算数の中で活用している力、つまり算数を作り出していく、整数で学んだことを元にして小数、それを元にして分数というようなやり方ですね。あるいは、三角形の内角の和は180度だけれども、四角形ではどうか、五角形ではどうか、というようなことです。アイディアを算数の中で活用していくということです。もう一つは、全国学力・学習状況調査のB問題にみられるように、他教科と関連した問題、日常生活に関連した問題です。平成20年度のB問題の最初に「ドアを開け閉めするときに、ドアはどう動くか」という問題があります。全国的な学力調査の前に、「特定の課題に関する調査」が平成16年度に実施されています。その中にブランコの問題がありました。そのブランコの座っているいすがどう動くか書きなさいという問題で、これを横から見たときに、このブランコの乗る板がどのように動くかを問う問題です。円の一部をかいていればよいのですが、三角形をかいている子が多かったのです。子どもの中には、ブランコの乗ったときの感覚から前後の動きを連想し、直線としての三角形をかいてしまうのではないかと思います。今回のドアの問題でも、直線で動いているという解答を選んでいる子どもが多いかもしれません。 (以下略) |
| 巻頭インタビュー 学習指導要領はこう変わる ●理科編 麻布大学非常勤講師 矢野英明先生 算数に続いて、理科の改訂のポイントについては、矢野英明先生(麻布大学非常勤講師。中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会理科専門部会委員)にお話を伺いました。(聞き手:「新しい教育(金ROM広場)」編集部) Q 今回の改訂の検討に際し、理科として課題になった内容は、どのようなことでしょうか。 矢野 理科の改訂にあたって議論されたことを列挙してみます。 まず、時代や環境の変化の中で、子どもの自然体験が十分でないという状況があることです。トンボに向かって殺虫剤をかけた子どもがいるという話を聞いたことがあります。家の中のゴキブリと同じ意識なんですね。 二つ目は、内容の構成が系統的でないということです。生活科ができる前、低学年に理科があったときには、力の系統とか、電気の系統とか、天体の系統とか、系統性が整っていました。生活科ができて以降、系統性が保たれなくなりました。 三つ目は、時間数、内容ともに充実していく必要があるということです。 四つ目は、教育課程実施状況調査の結果などから、「理科は好きだけれども理科が役に立つとは思っていない」という意識がわかっています。理科の有用性についての認識が希薄だということです。 五つ目は、これも教育課程実施状況調査の結果からわかることですが、実験は好きだけれど、結果を分析したり解釈したりすることが苦手だということです。 六つ目は、生活科を批判するわけではないのですが、実際に各学校で行われている生活科は社会科的な傾向が強く、自然や科学に関わるものが弱い状況にあるということです。したがって、理科の学びの基礎作りとして、生活科との関連を考える必要があります。 最後に、学びが表層的になっている傾向が見られることから、子どもの学びの質を向上させる必要があるということです。表面的には学んでいるけれど、本当に子どもが実感して納得した学びになっているかどうかということです。 こういうことが主に議論されて、今回の改訂は行われました。 Q その課題解決のために、どのような改訂がされるのでしょうか。具体的にお教えください。 矢野 論点に沿って、改訂内容を説明します。 まず、「自然体験の不足」に対しては、生活科でも関連して実施していかなくてはいけませんが、理科では3年生で、「身近な自然の観察」という内容を設定し、身の回りの生物の様子を調べて、生物のその周辺の環境との関係について考えるようにします。生活科に近いような内容です。 二つ目の「内容構成の系統性」については、例えば「電気」について言うと、これまでは3、4、6年で学習していましたが、今回から3年から6年のすべての学年で学びます。天体について、従来は3年で太陽と地面、4年で月と星を学習すると、その後は中学3年まで出てこなかったのですが、6年に月と太陽を入れることになりました。系統を考えた工夫をしてあります。今回の改訂の特徴は、小学校の内容を考える際に、中学校まで見通したということです。内容構成の系統性という点では、画期的なことです。実は、小学校と中学校が一緒に議論をしたというのは今回が初めてです。 三つ目の「時間数、内容面の充実」という点では、時間数も内容も増やしました。 四つ目の「理科の有用性」ということについては、「ものづくり」を重視したり、日常生活との関連を重視したりする中で、理科の持っている有用性に気付かせていきます。実生活、実社会との関連で、自分が学んだことが世の中でどう役に立つのか、そして、世の中の仕組みの中では、理科で学んだことがかなり使われているんだよ、ということを関連付けた指導をしていく必要があると思います。 五つ目の「分析や解釈が不十分」という点については、理科に限らず全教科でいえることです。PISAの調査で読解力、活用力が弱いと分析されていますが、ものごとを関連付けることができない原因の一つは、授業の中で自分の言葉で書くことが少なかったり、自分の目的に応じてグラフを作ることが少なかったりしたからだと考えています。こういうことを、重視していこうという内容になっています。理科の教科の目標の中に、「実感を伴った理解」という言葉が入りました。実験をして結果は得られるけれど、そのことから何が言えるか。そこまでいかないと「実感を伴った理解」にはなりません。前回の学習指導要領の改訂では「見通しをもって」という目標が入りました。今回は、これらが一緒になって、「見通しをもって観察、実験などを行い、……実感を伴った理解を図り、……」という構成になっているのです。 六つ目の「生活科との関連」ですが、生活科の改訂の基本方針の中で、「自然体験を充実する」としました。 最後の「学びが表層的になっている」ということについては、区分を三つから二つにしました。なぜ二区分にしたかというと、いろいろな考え方がありますが、子どもの学びのスタイルによって二つの区分にしたのです。これまでは、内容の系統として三区分でした。子どもたちがどういう学びをするかを考えてみたときに、A区分では、自分の目的にそって自分で組み立てていくような、「実験」という学び方です。B区分は、自分がはたらきかけるのではなくて、自然をありのままに観察して追究する学び方です。このように区分することによって、子どもたちの学びを、より高いものにしていこうとしたのです。 (以下略) |
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